

(作:Goodwillメンバー/イラストレーター 半田 智穂)
目が悪くなった気がする・老眼かも?!
オランダでメガネを買うには
―オランダメガネ事情と視力ケアガイド―
オランダで生活していて「視力が落ちたかもしれない」「子どもが教室でボードがよく見えていない気がする」と思ったら、どこに相談したらいいのでしょう。
オランダでのアイケアやメガネの購入手順は、日本とちょっと違います。ご多聞に漏れず日本より効率重視でシンプルな構造になっており、仕組みさえ分かっていればラクラクなのですが、年齢や症状によって扱いが違ったりするので戸惑うことも。どうしても「ああもう、めんどうだから次の帰国で日本の眼科に行こう」と、不自由を何か月も我慢してしまったりしがちです。
そこで今回の和か蘭君コラムは、オランダのアイケア関連情報をまとめます。
オランダの視力低下予防対策
近年、特に子どもの近視進行予防は世界的に重要視されています。オランダで一般的におすすめされているのは以下のような心がけです。
外で過ごす時間を増やそう(重要!)
親としては様々な影響を懸念してスクリーンタイムの制限ばかり気になりますが、近年「スクリーンタイムの長さよりも、外遊びの時間の短さの方が子どもの近視との相関性が大きい」という調査結果が発表されています。
オランダでもその他の心身への影響もふまえ、1日2時間以上自然光を浴びながら外で過ごすことが望ましいとされています。(冬はどこに太陽がある!という感想は持ちますが)
子どもにも「スクリーンを見るな」というよりも、「〇時まで外で遊ぼうね」という方が入りやすいですね。「禁止」よりも「これをしようね」で導くオランダ教育らしいアプローチでもあります。
最近は「Sitting is the new smoking(座りっぱなしは現代の喫煙=同レベルに有害であることが分かってきている事実の簡潔な表現)」などというフレーズも定着しており、大人にとっても「座っている・スクリーンを見ている」状態からちょこちょこブレイクを取ることの重要性は近年ますます注目されています。「うちの子はタブレットばかり見ている」と心配な方は、まずは短時間でいいので一緒におさんぽに出てみてはいかがでしょうか。歩くことを楽しくサポートしてくれるアプリや道具もたくさんありますよ。
20-20-20ルール
20分ごとに手元の作業から目を離し
20フィート(6m)離れた場所に目を移し
20秒間 眼の筋肉を緩める
1990年代後半にアメリカの教授Dr. Anshel’s により提唱されたデジタル機器による目のストレスを減らすための20-20-20ルールも、パンデミックの時期に長くデジタル環境で仕事する人が増えた時に世界的に広がりました。
近視に対する直接的な効果の程度はいまだ調査中ながら、デジタル眼精疲労やドライアイから目を守るための実践しやすい指標として支持されています。
だらだらタイムは窓辺で過ごそう
オランダでは昔から「本は窓辺で読みなさい」とお母さんがよく言うそうです。実際オランダは家の中の照明が暖色系で薄暗く、窓が大きく明かりを取り入れやすい造りのものが多いですね。スクリーンを見るときや読書するときは薄暗いところより適度に明るいところのほうが、眼精疲労が少ないことは確かなようです。
「メガネしているウサギを見たことある?」
さいごに、オランダのおばあちゃんの知恵袋を。オランダでは昔から目にいい野菜といえばニンジンが知られており、昔のお母さんはよく「ニンジンは目にいいから食べなさい。メガネをかけているウサギを見たことがある?ウサギはニンジンを食べるから目がいいのよ」というのがお決まりだったそうです。他にケールなどの緑黄色野菜が目にいいという人も。実際ニンジンに含まれるビタミンAや緑黄色野菜に含まれるルチンは夜盲症予防や黄斑部の健康に役立つといわれています。ただしニンジンで近視が治るわけではありません。念のためウサギの近眼率も不明です。
子どもの視力検査と年齢別の流れ
とはいえ視力に関しては遺伝的な要因もあり、気を付けていても子どもの視力低下に気づくこともしばしばです。オランダでは幼児検診、学校検診以外には「全国の子どもが一斉に受ける視力検査」のようなものはなく、基本的に「周りの大人が気づいたら・本人が不自由を感じたら対応」です。
0〜4歳
この時期に以下のような機会に視力の低下が明らかになることが多いです。
- 家庭での気づき(本やスクリーンを極端に近づけてみている・頻回に頭痛や疲れを訴えるなど)
- 学校の教師の指摘(教室の前のボードの字が読めていない・よく目を細めているなど)
- 学校や保健機関での健診(5歳時(視力・聴力・身長体重)、小学校5年生(基本身長体重のみ、愁訴があれば必要に応じて視力・聴力検査を実施)
この場合いったん保護者からかかりつけ医に連絡し、電話や来院の時点で他の疾患が強く疑われない限りはそのまま病院の眼科に紹介となります。
眼科では以下の検査が行われます:
- 左右視力検査
- 両眼視機能検査
- 眼の動きのチェック
- 屈折検査(正確な度数測定のため)
- 眼底検査(必要時)
※子どもの近視に関しては、近視の進行を遅らせる点眼薬、周囲デフォーカス機能のある特殊なレンズのメガネの指示書、オルソケラトロジー(ナイトレンズ)、生活指導などを組み合わせつつ、半年に一度程度の定期検診で進行度合いを見守るのが標準的なケアです。
12歳以上
基本的には大人と同じで、軽度の視力矯正であればメガネ店での対応が可能です。ただし急激な変化があった場合や、視力の問題以外の症状がある場合は、まずかかりつけ医に相談して別の疾患のある可能性を除外するのがおすすめです。
大人の場合―オランダではメガネ店で無料視力測定→注文が一般的
オランダでは、視力検査(oogmeting)は医療機関ではなくメガネ店で行われることが一般的です。ほとんどの店舗にopticien(眼鏡技師)が常駐しており、ふらっと立ち寄った際に空きがあればその場で無料(まれに低価格)で測定してくれます(予約が必要な場合もあります)。お店に気に入ったフレームがあれば、そのまま作成をお願いできます。
一般的な流れは以下の通りです。
軽度〜中等度の視力矯正であれば、メガネ店だけで完結するのがオランダの特徴です。とりあえず測定してもらってメガネ店で対応しきれなければ、正直にどこに相談すべきか教えてくれますよ。
日本での視力測定結果(眼科やメガネ店の処方箋)を持参しても、そのまま採用されることは少なく、多くの場合再測定を勧められます。これは、オランダではメガネのレンズの屈折度数(dioptrie)ベースでの計測が主流であり(詳しくは後述)、使用する機器や基準が異なるためです。ただし既存データは参考情報としてありがたいはずなので、手元にあったら持参してもいいでしょう。
老眼の対応とセルフチェック
一般的に40歳前後から以下のような症状が出てくると老眼(presbyopie)の可能性があります。
- スマホや本の文字が見えにくく、少し離すと見やすく・目が楽になる
- 夕方に目が疲れた感がある・夕方や目を使ったあと頭痛や肩こりがする
- ピントや明暗の調整に以前より時間がかかっている気がする
※筆者は視力のいい人生を送ってきましたが、40代半ばで急に子どもが「見て見て!」と顔の正面に何か持ってくるのが辛くなり、老眼を認めざるえなくなりました。あるあるです…
オランダでの一般的対応
オランダでは老眼鏡のためにメガネ店や眼科に行く人はごくまれで、ドラッグストア(Kruidvatなど)やスーパー(個人的にはHEMAの老眼鏡がお気に入りです)で販売されている既製の老眼鏡(leesbril)を試して買ってみるのが一般的です。+1.0、+1.5、+2.0など段階的に売られており、
- かけると裸眼の時よりスマホのスクリーンを見るのが楽になるか
- しばらくつけていると疲れそうな感じがないか(パッと見てスマホの文字が突然大きく、くっきり見えるほどのものは、長時間つけていると疲れることがあります)
を基準に選びます。
一般的に「40歳の+0.1をはじめとして、5歳年齢が上がるごとに+0.5」などということもありますが、近視の人は弱めでよかったり、そもそも個人差が大きかったりするので、これはあくまでものすごく大枠な目安です。
また、パソコンの画面は概してスマホより距離を持って見がちなので、主にPC作業時のために購入するときは少し弱めでも大丈夫です。
ドラストなどで売っているものは安価なので、迷ったら1.0と1.5両方など買ってみてもいいでしょう。老眼適齢期は「あれどこやったっけ」適齢期でもあります。予備があると重宝します(体験に基づいてお話ししております)。
ただ、明らかに左右差がある場合や、遠くの視力にも問題がある場合は、一度メガネ店で測定してもらった方が安心です。
おまけ:日本とオランダの視力・屈折度数の違い
日本では「視力(0.1〜1.5など)」が一般的ですが、オランダでは必要となるメガネの「度の強さ」で視力状態を評価するのが主流です。近眼の場合(老眼と逆の)「―(マイナス)」で表示されます。個人差があるため視力と度数は完全に一致しませんが、以下がだいたいの目安です。
| 日本の視力 | オランダの屈折度数(D) | 状態の目安 |
|---|---|---|
| 1.0〜1.5 | 0D(正視) | 裸眼で良好 |
| 0.7〜0.9 | -0.25 ~ -0.75D | 軽い近視の始まり |
| 0.5〜0.7 | -1.0 ~ -2.0D | 軽度近視(メガネ検討) |
| 0.3〜0.5 | -2.0 ~ -4.0D | 中等度近視 |
| 0.1〜0.3 | -4.0 ~ -6.0D | 強めの近視 |
| 0.1以下 | -6.0D以上 | 強度近視 |
コラム:費用・保険・購入時の注意点
オランダでは基本的にメガネ・コンタクトレンズは医療保険の対象外で(子どもなど一部例外あり)、費用は自己負担が基本となります。レートの関係で日本で買った方が費用が抑えられることが多いのでは?と思うものも多いこのご時世、価格もどれくらいか知ってから検討したいですよね。
■ メガネ購入価格の特徴
- フレーム+レンズはセット価格が多い
- セールで「2本目無料」などのキャンペーンがある(条件付きの場合もある)
そのため購入前には必ず:
- 総額の見積もりを出してもらう
- セール条件を確認する
- その場で決めず一度持ち帰って検討する
という感じで何店か回ってから決めることが多いようです。遠慮はいりません。感謝して笑顔で「どうもありがとう、検討します」と持ち帰りましょう。現地人の中には、街のメガネ店で無料で視力測定をしてもらい、その結果を持ち帰って、そのデータとともにオンラインの安いメガネ店やコンタクトレンズ店でオーダーする、という人すら少なからずいます。個人経営のお店や、1時間近くかけてじっくり測定してくれるようなお店だとちょっと気が引けますが、Pearle や Specsavers、Hans Anders などの大手チェーンでは わりとごく普通のことだそうです。また蛇足ですが、日本に帰国する際使い捨てコンタクトに関しては、「輸入確認証なしで持ち込めるのは2か月分まで 」という原則があります。
気心の知れた日本の眼科やメガネ店ももちろん素晴らしいですが、海外でアイケアを受けるのも貴重な機会ですしいい体験になるかもしれません。ぜひご検討を。
おまけ2:お役立ちワード・フレーズ(アイケア編)
| 近視 | myopia / nearsightedness |
| 遠視 | hyperopia / farsightedness |
| 乱視 | astigmatism |
| 老眼・老眼鏡 | presbyopia ・reading glasses |
| こちらで視力検査を受けられますか? | Could I have an eye test here? |
| 最近、子どもの視力が落ちているようです | It seems like her(his) vision has gotten worse recently. |
| 視力低下を遅くするために何かアドバイスはありますか | Do you have any advice on how to slow down myopia progression? |
(文:Goodwillメンバー ウルセム幸子)
オランダでの視力検査やメガネ購入についてご質問があればいつでもGoodwillにお問い合わせください!

近視は世界的に急速に発症率が増えています(下記グラフ参照)。オランダでは60歳以上の人口の25%、40代の33%、25歳代では57%に及ぶとされています。この近年の急速な増加は遺伝的要素だけでは説明できない環境要因が強くかかわっていると思われます。
近視は発症後17歳前後まで進行していくことが一般的であり、特に幼少期に発症した場合、将来的に病的近視(強度の近視)となるリスクや網膜剥離や緑内障・白内障といった関連疾患による視力障害のリスクが高まります。オランダでは幼児期に高度近視になった子供の30%が将来的に視覚障害(本が読めなくなる)に至ると予測されています。 ご興味のある方は日本眼科医会の近視についての説明文章をご参照ください。
https://www.gankaikai.or.jp/health/57/index.html

世界の近視罹患率。近視(青線)および高度近視(-6D以上)(赤線)
NED TIJDSCHR GENEESKD. 2016;160: D803より引用
子供の近視を予防するため20-20-20ルールが25歳以下の若者を対象にオランダの眼科教授Dr.Klaverにより推奨されています。
20-20-2ルール(20-20-2 regel Dutch Eye Fondation: https://oogfonds.nl/20-20-2/ )
- 20分ごとに手元から視線を外し
- 20秒間 遠く(6m以上離れた場所)に視線を移す
- 2時間以上外で遊ぶ時間をとること
子供の眼・視力は発達の過程で環境に適応するため明るさや眺める対象との距離が直接影響します。外遊びをしている子供の方が近視になる確率が低いことが研究から分かっています。幼児期から近距離(30㎝以内)の画面や本を長時間みることで眼球の軸が長く伸びてしまうのが近視に至る原因とされています。これが30-40年後には網膜剥離、視神経の障害などのを通して深刻な視覚障害につながってしまうのです。
近距離での作業の中でも携帯・タブレットなどのデジタル機器は眼をそらさないようにプログラミングされているため特に眼への悪影響が本や手作業に比べて大きいと考えられています。
そのため2歳以下の乳幼児には画面を一切使用させないことを推奨しています。これは目の健康のみならず、社会心理的・運動機能の発達にとっても言えることで幼いお子様を抱えていらっしゃるご両親には是非知っておいて頂きたいです。
手に持つタブレットや携帯電話よりもテレビ(数メートル離れてみる)や30㎝以上離してみるコンピューターの方がまだ害が少ない。
このことを念頭に困難ではありますがしっかりと子供の将来の視力を守りたいものです。
(文:Goodwillメンバー・青少年保険医 藤尾純子)
- 文:Goodwill代表 タナカケン
- 文:Goodwillメンバー
ウルセム幸子 藤尾純子 半田智穂 - 編集 ウルセム幸子
- イラスト:Goodwillメンバー 半田智穂
- WEBデザイン・編集:チューリップデザイン

