花粉症、オランダに来てからいかがですか?オランダ花粉事情・治療・民間療法まで

【医師監修】オランダでの子どもの予防接種完全ガイド!日本とオランダ、どう違う?
花粉症、オランダに来てからいかがですか?オランダ花粉事情・治療・民間療法まで

(作:Goodwillメンバー/イラストレーター 半田 智穂

目次

日本人の「国民病」ともいわれる花粉症

長く暗いオランダの冬が終わり、やっと春の訪れを感じるか感じないかといった絶妙なタイミングで、毎年忘れてもくれずにやってくるのが花粉症のくしゃみ、鼻水、目のかゆみです。今や日本人の半数近くが罹患しており、国民病といわれるこの病気ですが、お持ちの方はオランダに来てからいかがでしょうか?

「大戦犯」であるスギやヒノキの木が日本より少ないはずのオランダですが、「オランダに来てから花粉症は全くなくなりました!」という日本人は、残念ながらまれな印象です。

オランダの花粉症事情と花粉の種類

実際オランダでも、人口の約15〜20%が花粉などによるアレルギー症状を持つと報告されており、特に近年は気候変動の影響で、花粉シーズンがどんどん「早く、長く」なっていると指摘されています。

オランダで特に問題になる花粉は、イネ科の草やシラカバ、ハンノキなどの花粉で 、特にシラカバ花粉は患者の約半数が感作しているという報告もあります。

1~3月と早い時期に飛散を始めるのがハシバミやハンノキなどの木の花粉で、2月でも少し暖かい日があると突然くしゃみが…という人はこれらの花粉にアレルギーがある可能性が高いです。

春が本格的になる4月にはオランダの花粉の大ボスであるシラカバやポプラが参戦し、その後夏にかけてイネ科の植物も続々と花をつけるため、5~7月には耐えきれずかかりつけ医に駆け込む人が急増します。秋の訪れとともに症状が落ち着く人もいますが、8~9月にもヨモギやブタクサが活動しているため、運が悪い人はクリスマスシーズン以外ずっと花粉症を引きずることに。

このように原因となりうる花粉の種類が多すぎるせいもあって、オランダで花粉症を疑って受診しても初回で犯人特定のためのアレルギー検査などほぼしません。

筆者はオランダの医者に検査を打診した患者さんが「知ったところでどうするの?オランダ中のその木を全部切るつもり?」と逆に質問されているのを見たことがあります(トホホ)。

花粉症に対する医療的対処inオランダ

とういわけで効率重視のオランダでは、基本的にお医者さんも「辛い季節は薬を飲んでしまえばいい」というスタンスです。幸い、依存性や副作用がほぼない抗ヒスタミン薬が複数あるので、もう何十年も花粉症シーズンだけ薬をもらって飲んでしのいでいるという人がたくさんいます(一度処方されればあとは毎年受診なしで再処方してもらえます)。

かかりつけ医を予約して処方してもらえば自己負担なしで最適な飲み薬・点鼻薬・目薬が手に入りますが、オランダの薬は単剤のものが多いのでKruidvatなどのドラッグストアで買えるお薬も、処方薬と成分は同じです。

代表的なものがCetirizineという第二世代(眠気が出にくい)抗ヒスタミン薬です。

1日1回でしっかり効果があるうえ、オランダでは40年近く利用されて長期利用の安全性が確認されていることもあり、第一選択肢として処方されやすいお薬です。

各種ドラッグストアはもちろん、今年から大手スーパーのAlbert Heijnでも自社ブランド品が棚に並んでおり、一か月分6ユーロ程度と安価です。少量から試したい人は、真ん中の線で割って5mgから試すこともできます。

日本では「ジルテック」(処方薬)、「新コンタック鼻炎Z」、「ストナリニZ」などに配合されている成分です。

一方日本では、CetirizineよりもFexofenadine(処方薬としての薬名はフェキソフェナジン)の方が処方される頻度が高いようす。同じく第二世代抗ヒスタミン薬で、cetirizineよりもさらに眠気が出にくいとされ、市販薬では有名な「アレグラ」の主要成分です。オランダでも同じ名前(Allegra )で売っていますが、逆にオランダではメジャー度がcetirizineより低いので自社ブランド品などがなく、概してちょっとお高めです。

他にも鼻スプレー目薬など、さまざまな市販薬があるので、薬局で「Hooikoorts(花粉症)」の文言を目安に探してみてください。ちなみに花粉症に特化したお薬ではありませんが、ミントなどのオイルが配合されていて、洗面器などにはったお湯に溶かしてその上で鼻から息をすることで有効成分を蒸気から吸い込んで鼻が楽になるRhinoカプセル(や、そのジェネリックのKruidvatブランドのもの)も、鼻づまりや鼻の奥のヒリヒリが辛い時はとても重宝します。

しかし、「症状が長引いてつらい」「市販薬が望むほど効かない」という場合は遠慮せずにかかりつけ医を受診してください。投薬を調整したり、専門医にリファーして血液検査 や皮膚テストで原因花粉を特定したり、アドバイスをしてくれたりします。どうしても通常の飲み薬が効かない、QOLや睡眠の質が著しく低下しているなどの理由で必要と判断されれば、保険適用でアレルゲン免疫療法(desensitization)を受けられる可能性すらあります。

薬以外では、理学療法(fysiotherapie)で花粉症対策のテーピングをしてもらうという選択肢もあります。興味のある方はお近くのフィジオでやってもらえるか問い合わせてみてください。

花粉予報

日本ではもうすっかり定着した「花粉予報」ですが、オランダでも近年は様々な花粉予報サービスがあります。

天気予報で有名なBuienraderも時刻ごとの花粉予報を発表していますし、花粉症患者向けの総合情報サイト「花粉アラート」も、症状別の対策のまとめなども含め幅広く情報をカバーしています。

また、オランダならではの花粉情報サイト「花粉症レーダー」も一見の価値あり。まだオランダで花粉症の情報が手に入りにくかった2007年に生物学者が立ち上げた啓蒙サイトで、時刻ごとの花粉予報はもとより主要な植物それぞれの花粉の飛散量なども日々アップされています。ほかにも原因となる植物について学んだり、郵便番号を入力して局地的な花粉予報を見たり、「今日は特に目がつらい」などと自分からも情報をアップして他の利用者と情報を共有し合ったりと、ちょっとユニークな体験ができます。

オランダの花粉症民間療法

日本でも毎年のように「花粉症にいい」とされる食品や民間療法が注目を浴びますが、オランダにもさまざまな花粉症に対する民間療法があります。鼻の中にワセリンを塗る、免疫力サポートのためにビタミンCやD、亜鉛などを摂る、外出時はサングラス必須、帰宅したらすぐに頭からシャワーを浴びるなどの王道も支持されていますが、オランダならではの「おばあちゃんの知恵袋」的な民間療法もあるのでおまけにご紹介します。

1. ハーブティー

日本でも甜茶やペパーミントティーなどが人気ですが、オランダで抗炎症効果のあるハーブといえばダントツで「ネトル」です。道端に大量に茂っていて、形がシソに似ていて、触ったらヒリヒリするあのネトルですが、適切に処理してお茶やサプリメントとして飲むとむしろ鼻や目のヒリヒリを抑えてくれるというので不思議なものです。また、カモミールティーやルイボスティーもアレルギーの炎症を抑えてくれると人気です。

2. 地元はちみつ療法

欧米では「地元産のはちみつを食べる」という民間療法が根強い支持を得ています。日々空中を舞っているのと同じ種類の花粉が含まれたはちみつに少しずつ体を慣れさせることで、免疫療法のような効果を得ようという狙いのようです。科学的な論拠は弱いようですが、ローカルマーケットで地元の養蜂場のはちみつが手に入る方は試してみてもいいかもしれません。同様の理屈で「雨水を飲む」というものもたまに聞きますが、なぜでしょう、食指が動きません。

3. 海にお出かけしましょう

花粉症シーズンのピークと多忙な年度の節目が重なる日本ではありえない発想ですが、よく言われるのが「花粉が少ない海や山にバケーションに出かけて、鼻や目に花粉からのブレイクを与えましょう」というアドバイスです。お仕事のスケジュールに余裕のある方はどうぞ。

4. 信じるか信じないかはあなた次第?「ダンゴムシを食べる」!!

なぜダンゴムシかという科学的根拠は全くの不明ながら、なぜかオランダで根強い支持を得ている民間療法が「ダンゴムシを食べる」です。オランダではなぜか中世から尿関係の病気を治してくれると信じられてきた歴史もあり、身近な虫だったのかもしれません。花粉症に対してもダンゴムシを食べると免疫療法のような効果があるという一応の説明と共に様々なメディアで検証がなされ、「確かに効果があった」という声も散見されますが、専門家からの見識は一貫して「ナンセンス」です。筆者もこれで花粉症がぴたりと止まったというご近所さんにここ数年ずっと勧められていますが…まあ、藁にもすがる思いの花粉症仲間がオランダにもたくさんいる、という表徴として、ありがたく心の支えにしたいと思います。

コラム:お役立ち用語とフレーズ

日本語英語オランダ語
花粉症の症状がつらいですMy hay fever symptoms are severeMijn hooikoortsklachten zijn erg vervelend
この薬に副作用はありますかDoes this medicine have side effects?Heeft dit medicijn bijwerkingen?
この薬に依存性はありますかIs this medicine addictive?Is dit medicijn verslavend?
市販の薬がじゅうぶん効きませんThe over-the-counter medicine is not working well enoughVrij verkrijgbare medicijnen werken niet goed genoeg

(文:Goodwillメンバー ウルセム幸子)

Dr.ケンのちょっとセツメイよろしいですか

花粉症は日本では特に深刻であり、その大きな理由は花粉の飛散量が非常に多く、ピーク時には極めて高濃度になることにあります。これは主に、第二次世界大戦後の植林政策に起因しています。

当時、産業復興を支えるために成長の早いスギが広範囲に植えられました。現在ではこれらの木が成熟し、毎年春になると大量の花粉を放出し、時には空気中に「花粉の雲」が見えるほどになります。

その結果、日本では人口の約30〜40%が花粉症に苦しんでおり、世界でも最も高い有病率の一つとなっています。

一方で、オランダはより湿潤で変わりやすい気候を持っています。頻繁な降雨によって空気中の花粉が洗い流されるため、極端なピークは抑えられますが、その代わりに花粉シーズンは長くなり、イネ科植物やシラカバなど多様な花粉が原因となります。

興味深いことに、一般的には中程度で徐々なアレルゲンへの曝露は免疫系の耐性形成を助ける場合がありますが、日本の場合は事情が異なります。花粉の量があまりにも多いため免疫系が圧倒され、適応がうまく進まず、慢性的で重い症状につながります。

さらに、日本の都市部では都市化や大気汚染も気道を刺激し、アレルギー反応をより強める要因となっています。

(文:Goodwill代表 タナカケン)
(訳:Goodwillメンバー ウルセム幸子)

  • 文:Goodwill代表 タナカケン
  • 文・訳:Goodwillメンバー ウルセム幸子
  • イラスト作画:Goodwillメンバー 半田 智穂
  • WEBデザイン・編集:チューリップデザイン
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